Column | 系統用蓄電池
土地の書類はいつ何が要るのか ― 2026年1月と10月で求められるものが違います
2026.08.24 ・ 系統用蓄電池
土地の書類について、時期の違う2つの要件が入りました。混同すると準備を誤ります。求められるものが根本的に違うので、分けて整理します。
結論を先に
| 時期 | 何の手続きで | 何を出すか | 権利は要るか |
|---|---|---|---|
| 2026年1月5日以降の受付分 | 接続検討申込み・契約申込み | 登記簿等の確認結果などが記載された書類 | 不要(調べた結果でよい) |
| 2026年10月1日以降に契約申込みの受付を行う案件 | 契約申込み(連系承諾後) | 使用権原を証する書類 | 必要 |
前者は「その土地の権利関係を調べましたか」を問うもの。後者は「実際に使える権利を持っていますか」を問うものです。
① 2026年1月から ― 調べた結果を出す
第5回次世代電力系統ワーキンググループ(2025年11月14日)で決まった内容です。
2026年1月5日以降に接続検討申込み及び契約申込みの受付を行う案件から、発電等設備の設置場所における登記簿等の確認結果などが記載された書類の提出を求めることとした
求められているのは確認結果です。権利を持っていることまでは求められていません。
注意すべきは「受付日」で適用される点です。
最新様式は受付日で適用されることから、現時点で申込みを行っている案件においても、最新様式が適用される可能性がある
受付日とは、申込書類に不備がなく検討料が入金されていることが確認された日を指します。申込みを出した日ではありません。書類に不備があれば受付日が後ろにずれ、その間に様式が変われば新しいほうが適用されます。
② 2026年10月から ― 権利そのものを示す
こちらは開始日が2026年6月10日の資料で確定しました。
発電等設備の契約申込における事業用地の土地使用権原の提出の要件化について、本年10月1日付(予定)で関係規程類を改正し、同日以降に契約申込みの受付を行う案件より運用を開始する
提出の期限と、間に合わなかった場合の扱いも示されています。
連系承諾から2ヶ月以内に使用権原を証する書類(土地の登記簿謄本、賃貸借契約書の写し等)の提出を求める……期限内に使用権原を証する書類が提出されない場合は、連系予約を取り消す
連系承諾から2か月です。契約申込みの時点ではなく、承諾を受けてからカウントが始まります。用地の交渉をしながら手続きを進める実態を踏まえた期間設定とされていますが、2か月で登記簿謄本または賃貸借契約書が用意できる状態にはしておく必要があります。
1月のほうは「調べたか」、10月のほうは「持っているか」じゃ。混ぜて考えると、1月の書類を出したから大丈夫だと思い込むことになる。別物と覚えておきなさい。
はかせ/制度解説既設設備には例外があります
意見募集で、既設発電所を持つ事業者から声が寄せられました。
既設発電所の扱いについては、既に当該土地を長期間にわたり問題なく使用している実績があることから、改修範囲外の使用権原の提出を全て省略していただきたい 土地の新たな取得を伴わない既存設備の改修における申込の際は、事業用地に関する使用権原を証する書類の提出は不要としていただきたい
これを踏まえ、次の場合には使用権原の提出を不要としてはどうか、とされています。
- ① 既に事業を実施している土地において、増強・更新・改修が行われる場合
- ② 土地の追加取得を行った場合であっても、出力増加などの系統への影響が生じない場合
既存の発電所を改修する計画がある場合は、自分がこの例外に当たるかを確認してください。
FIT/FIPは対象が違います
この要件化は非FIT・非FIPの電源を念頭に置いたものです。FIT/FIP制度を利用する電源については、同制度で既に使用権原を証する書類の提出が求められているためです。
なぜ厳しくなったのか
背景は申込みの急増です。同じ審議会の資料に数字があります。
全国(沖縄を除く)の契約申込みの状況 2024年9月末時点 621万kW → 2025年9月末時点 2,431万kW(約3.9倍)
そして規律強化の趣旨は「事業確度が低いにもかかわらず、連系予約を維持(空押さえ)する案件が見受けられる状況を是正し、事業確度の高い事業者が迅速に系統接続できるようにすること」とされています。
保証金の増額や工事費負担金の分割払いの厳格化とあわせた対策の一部です。全体像は系統用蓄電池の「空押さえ」対策にまとめています。
いま準備しておくこと
共有地は先に整理する。相続で共有になったまま、共有者の一部と連絡が取れない土地は、2か月では権利を固められません。
賃貸借なら契約書の形を確認する。口頭の約束や覚書だけでは、使用権原を証する書類として足りない可能性があります。
既設の改修計画は例外の可否を確認する。該当すれば提出が不要になります。
接続検討の枠と合わせて考える。2026年8月から接続検討の申込みに件数上限が入っています。枠が限られている以上、権利を固められる地点から使うのが合理的です。
用地そのものの見極めは系統用蓄電池の用地に向く土地・向かない土地、手続き全体の流れは連系までの流れをご覧ください。
よくある質問
10月1日より前に契約申込みを済ませればよいのですか。 運用開始は「同日以降に契約申込みの受付を行う案件」からとされています。申込日ではなく受付日が基準になる点にご注意ください。
登記簿謄本がなくても賃貸借契約書があれば足りますか。 資料は「土地の登記簿謄本、賃貸借契約書の写し等」と並記しています。どの書類で足りるかは各一般送配電事業者の運用によりますので、事前にご確認ください。
2か月を過ぎたらどうなりますか。 連系予約を取り消すこととされています。接続検討からやり直すことになります。
まだ地権者と交渉中でも契約申込みはできますか。 できますが、連系承諾から2か月以内に書類が出せる見通しがあるかどうかが実質的な判断になります。
ご相談の前に
所在地、面積、権利の状況(所有・賃借・交渉中)。この3つがわかれば、10月以降のスケジュールで成立するかをお伝えできます。共有地や相続未了の土地は、早めにご相談ください。
案件・協業のご相談は投資家・法人の方へ、土地の活用としては土地所有者の方へをご覧ください。
この記事の参照元
- 資源エネルギー庁「発電等設備における系統アクセス手続きの規律強化について」(2025年12月24日 第6回次世代電力系統ワーキンググループ 資料3)— 2026年1月5日以降の書類提出、受付日の定義、使用権原の提出期限と連系予約の取消、契約申込みの推移
- 資源エネルギー庁「系統用蓄電池をはじめとする発電等設備の迅速な系統連系に向けた対応について」(2026年6月10日 第11回 資料2)— 使用権原の提出要件化の開始時期(2026年10月1日付予定)、既設設備の例外、意見募集で寄せられた意見
引用は各資料の公表時点の記載によるものです。開始日は「予定」として示されているものを含みます。実際の申込みにあたっては、該当する一般送配電事業者の最新の告知をご確認ください。