Column | nonFIT・PPA
地上設置の事業用太陽光はFIT/FIPから外れます ― 2027年4月1日施行、省令は公布済み
2026.08.25 ・ nonFIT・PPA
「FIT/FIPの支援が絞られるらしい」という話を聞いた方へ。すでに決まって公布まで済んでいる部分と、これから決める部分が混ざっています。分けて整理します。
決まっている部分
資源エネルギー庁の資料から、そのまま引きます。
事業用太陽光発電(地上設置)については、2027年度以降、FIT/FIP制度における新規支援の対象外とする このうち、①については、パブリックコメント手続も経て、関係する再エネ特措法の下位法令(省令・告示)の改正を昨年度末に公布し、2027年4月1日より施行を予定している
地上設置の事業用太陽光は、FIT/FIPの新規支援から外れます。省令・告示は既に公布済みで、施行日も決まっています。「検討中」ではありません。
これは2026年2月5日の調達価格等算定委員会「令和8年度以降の調達価格等に関する意見」を受けたものです。理由は「最新のコストデータの動向や入札状況を踏まえ」とされています。
なぜこうなったのか
出発点は、2025年12月に関係閣僚会議で決定された「大規模太陽光発電事業(メガソーラー)に関する対策パッケージ」です。ここで2つの方向が示されました。
① 再エネ賦課金を用いたFIT/FIP制度による支援に関し、2027年度以降の事業用太陽光(地上設置)について廃止を含めて検討 ② 屋根設置等の地域共生が図られた導入支援への重点化
①が先に決着し、②が現在の検討対象です。
背景の認識も資料に書かれています。「太陽光発電は、導入が急速に拡大した一方、様々な懸念が発生。地域との共生が図られた望ましい事業は促進する一方で、不適切な事業に対しては厳格に対応する必要がある」。
何が残るのか
支援を重点化する類型は、まだ決まっていません。ただし候補は資料に出ています。
屋根設置太陽光は「代表格」とされ、現行のFIT/FIP制度で既に一定の重点化がなされています。資料は、他の類型を検討する際に屋根設置の現行取扱いを参考にするとしています。
ソーラーカーポートについてはこう書かれています。
屋根設置型と同様に周辺地域や周辺環境に影響を及ぼす可能性が低いと考えられ、地域共生が図られた形での導入が期待される ✓ 一体型又は搭載型であり、建築基準法に基づく建築物であること ✓ 工場、店舗等の施設に付随する駐車場に設置されるものであること
インフラ空間も候補です。国土交通省から、空港・道路・鉄道・港湾等での導入拡大が提案されています。「インフラ空間は地域との共生が図られやすい空間である」との整理です。
そして営農型太陽光も、メガソーラー対策パッケージの中に「望ましい営農型太陽光の明確化・不適切な取組への厳格な対応【農林水産省】」として位置づけられています。営農型のルール改正については営農型太陽光の新ルールをご覧ください。
選ぶ物差しも示されています
どの類型を選ぶかの判断軸として、3つの視点が挙げられています。
- 当該類型に対する今後の導入の期待
- 当該類型における地域共生の図られやすさ
- FIT/FIP制度の特性(設備の類型毎に一律の支援を行う面的な支援制度であること等)
3つ目が効きます。FIT/FIPは個別審査ではなく類型ごとに一律で支援する制度です。だから「良い事業者なら地上設置でも」という切り分けができません。類型として線を引くしかないという制度の性質が、地上設置の一律除外につながっています。
「うちはきちんとやっているから大丈夫」では通らん。FIT/FIPは類型ごとに一律で支援する仕組みじゃからな。個別の善し悪しではなく、どの箱に入るかで決まる。自分の案件がどの箱なのかを、先に確かめることじゃ。
はかせ/制度解説決まっていない論点は8つあります
類型が決まったあと、各類型についてさらに詰める項目が列挙されています。
| # | 制度的論点 |
|---|---|
| ① | 設備の区分等や認定基準等 |
| ② | 説明会等の適用 |
| ③ | 地域活用要件 |
| ④ | 廃棄等費用積立制度の適用 |
| ⑤ | FIT/FIPの別 |
| ⑥ | 入札制の適用 |
| ⑦ | 支援価格/期間や初期投資支援スキームの適用 |
| ⑧ | 解体等積立基準額 |
重点化の対象になっても、条件は現行と同じとは限りません。価格も期間も、これから決まります。
参考として、現行の屋根設置太陽光の扱いも資料に示されています。たとえば認定基準として、建築基準法上の検査済証、不動産登記法上の建物の表題登記、パネルの全てを屋根に設けること、電気事業法上の届出の4点が求められます。説明会等の事前周知措置は認定基準ではなく努力義務です。
地上設置を検討している場合
FIT/FIPが使えなくなるということは、非FIT・非FIPで組み立てるか、2026年度中に認定を取るかの判断になります。
非FITで組む場合は、オフサイトPPAや自己託送、あるいは蓄電池との組み合わせが選択肢になります。PPAと自己託送の違いはこちらにまとめました。
なお、系統アクセスの手続きも同時期に厳しくなっています。使用権原の提出が2026年10月1日から要件化され、接続検討の件数にも上限が入りました。間に合わせる前提で動くなら、逆算できる期間はもう長くありません。
よくある質問
すでにFIT認定を受けている案件はどうなりますか。 今回決まったのは2027年度以降の新規支援の対象外化です。既存の認定案件の扱いについては、本記事で引用した資料には記載がありません。
屋根設置なら確実に残りますか。 屋根設置は「代表格」とされ現行でも重点化されていますが、支援価格や期間を含む制度的論点はこれから検討されます。
ソーラーカーポートは対象になりますか。 候補として挙げられていますが、決定ではありません。建築基準法上の建築物であること、工場・店舗等の施設に付随する駐車場であることが条件として示されています。
いつ確定しますか。 資料のスケジュールでは2026年9月頃に類型の検討結果が整理され、2027年2〜3月頃にパブリックコメント、2027年4月1日に施行とされています。
ご相談の前に
計画中の設備の設置形態(地上・屋根・カーポート)、規模、認定の取得状況。この3つがわかれば、どの制度が射程に入るかをお伝えできます。地上設置で進めていた案件を非FITに切り替える検討もお手伝いできます。
投資・法人としての検討は投資家・法人の方へ、nonFIT・自家消費はこちらをご覧ください。
この記事の参照元
- 資源エネルギー庁「事業用太陽光発電におけるFIT/FIP制度の支援重点化について」(2026年7月28日 第3回再生可能エネルギー主力電源化小委員会 資料2)— 地上設置の対象外化と公布・施行時期、メガソーラー対策パッケージの内容、検討スケジュール、類型選定の3視点、8つの制度的論点、屋根設置太陽光の現行取扱い、ソーラーカーポートとインフラ空間の位置づけ
引用は資料の公表時点の記載によるものです。支援を重点化する類型と、その具体的な条件は今後の検討で決まります。実際の検討にあたっては最新の公表資料をご確認ください。