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Column | nonFIT・PPA

オフサイトPPAと自己託送の違い ― 分かれ目は「密接な関係」があるかどうか

2026.07.18(更新 2026.08.24) ・ nonFIT・PPA

「オフサイトPPAと自己託送はどう違うのか」というご質問をよくいただきます。どちらも離れた発電所の電気を自社の拠点で使う形ですが、自己託送には法令上の要件があり、誰でも選べるわけではありません。そこが最大の違いです。

自己託送とは何か

資源エネルギー庁の「自己託送に係る指針」の定義です。

自己託送とは、発電用又は蓄電用の自家用電気工作物及び一般用電気工作物……を設置する者が、当該自家用電気工作物等を用いて発電し、又は放電した電気を一般送配電事業者が維持し、及び運用する送配電ネットワークを介して、当該自家用電気工作物等を設置する者の別の場所にある工場等に送電する際に、当該一般送配電事業者が提供する送電サービス

「発電し、又は放電した」と書かれています。蓄電設備も対象です。

まず4つの要件を満たす必要があります

令和6年2月の指針改正で、要件が整理されました。次の4つをすべて満たす必要があります。

  1. 自家用電気工作物等が非電気事業用電気工作物であること
  2. 他者から譲渡又は貸与等を受けた非電気事業用電気工作物ではなく、自ら設置した非電気事業用電気工作物を維持し、及び運用していること
  3. 維持・運用する者と、電気を供給する地点の需要家との間に密接な関係を有すること
  4. 電気の最終消費者の需要に対する供給であること

2つ目が重要です。他社からリースで借り受けた設備では要件を満たしません(完全子会社が設置したものを譲り受ける場合を除く)。「設備は用意しますので名義だけ」という提案は、この要件に反します。

分かれ目は「密接な関係」です

3つ目の「密接な関係」は電気事業法施行規則第2条・第3条第1項に規定があり、指針が具体的な類型を示しています。

密接な関係と判断される場合
(1) 生産工程において原材料、製品等の受渡しがあって、それを第三者との受渡しに代替することが困難であること
(2) 子会社と親会社の関係、親会社の子会社と当該親会社の子会社との関係その他これらに準ずる関係
(3) 人的関係として、一方の者から他方の者に対して過半数の役員の派遣がなされていること
(4) (1)〜(3)が単独では不十分でも、複数を合わせて見ることで密接な関係があると判断される場合
(5) 代替困難な原材料・製品・役務等の提供が長期にわたり継続し、社会通念上一つの企業とみなし得る関係があると判断される場合
(6) 供給者と相手方が共同して組合を設立する場合であって、一定の要件に全て該当する場合
同じ「離れた発電所から使う」でも、成り立ちが違います オフサイトPPA 発電所を持つ 発電事業者 需要家の投資 不要 相手の条件  契約で決める 再エネ賦課金 小売の電気として負担 需給の管理  小売電気事業者 関係がなくても組める 長期の売買契約を結ぶ相手を選べる 自己託送 発電所を持つ 需要家自身 需要家の投資 必要 相手の条件  密接な関係が要る 再エネ賦課金 徴収の対象外 需給の管理  自ら負う 関係がなければ組めない 親子会社・生産工程・組合など6類型
オフサイトPPAと自己託送の比較。自己託送は当事者間の関係が要件になる点が、契約で決められるPPAとの決定的な違いです。

(6)の組合型は、資本関係も取引関係もない事業者どうしが自己託送を使うための枠組みです。ただし組合契約書に長期存続の旨が明らかであること、組合員名簿に双方の名称が記載されていることなど、複数の要件を全て満たす必要があります。

再エネ賦課金の扱いが違います

実務でよく効くのがここです。自己託送は自家発自家消費の延長と位置づけられており、再エネ賦課金を徴収する対象となっていません。

一方、オフサイトPPAは小売電気事業者を介した電気の購入なので、賦課金を負担します。

使用量が大きいほど差が開きます。ただし自己託送は発電設備を自社で保有するため、初期投資と保守の責任が伴います。賦課金の差だけで選ぶ判断にはなりません。

そして、この差が要件厳格化の引き金になりました。同じ資料は次のように述べています。

自己託送による電気の供給には再エネ賦課金が課されないことに着目し、自己託送を積極的に活用する事業者が増加している。こうした自己託送を活用した事例の中には、……自己託送の制度趣旨に反し、実態としては他者から電気を調達し他者に供給していると解される案件が多く見受けられる。

具体例として、①他者が開発・設置した発電設備をリース契約等で借り受け、需要家が名義上の管理責任者となる形、②送電した電気を自ら消費せず、需要場所内で密接な関係のない他者へ融通する形が挙げられています。資料には「再エネ賦課金0円」と訴求する事業者のWebサイトの例まで載っています。

「賦課金がかからない」を前面に出した提案を受けたら、4つの要件を1つずつ確かめてください。

需給の管理を誰が負うか

自己託送では、発電計画と需要計画を合わせる責任を自ら負います。ずれた分はインバランスとして精算されます。発電量が読みにくい太陽光では、この管理が実務上の負担になります。

オフサイトPPAでは、小売電気事業者が需給の管理を担います。需要家は電気を買う側なので、この負担を負いません。

はかせ

自己託送は「安く見えるが、誰とでも組めるわけではない」。まず相手との関係が6類型のどれかに当てはまるかを確かめることじゃ。当てはまらなければ、いくら条件を詰めても始まらん。逆にオフサイトPPAは、その制約がない代わりに賦課金を負担する。順番を間違えんことじゃな。

はかせ/制度解説
愛知県内の屋根上太陽光。離れた場所の発電所から電気を届ける形も選べます
愛知県内の屋根上太陽光。離れた場所の発電所から電気を届ける形も選べます

要件は厳しくなる方向にあります

自己託送の指針は改正が重ねられています。直近では令和6年2月12日から改正後の指針が適用されています。附則により、令和5年12月31日以前に接続の契約申込み(特別高圧・高圧の場合は接続検討の申込み)が完了している案件については、なお従前の例によるとされています。

制度に乗る前提で計画を立てる場合は、いつの時点の基準が適用されるかを確認してください。

選ぶときの順番

  1. 相手との関係を確認する。密接な関係の6類型に当てはまるか。当てはまらなければ自己託送は選べません
  2. 設備を持つかどうかを決める。初期投資と保守の責任を負えるか
  3. 需給管理を担えるか。インバランスのリスクを社内で見られるか
  4. そのうえで金額を比べる。賦課金の差、託送料金、設備の償却

順番が逆になると、時間を無駄にします。

よくある質問

自己託送に蓄電池は使えますか。 指針は「発電し、又は放電した電気」と定めており、蓄電用の設備も対象に含まれています。

取引先との間で自己託送はできますか。 生産工程で原材料や製品の受渡しがあり、第三者との受渡しに代替することが困難であれば、(1)に当たり得ます。個別の判断は所管にご確認ください。

グループ会社間なら使えますか。 親会社と子会社、同一の親会社を持つ子会社どうしなどは(2)に挙げられています。

関係のない会社と組む方法はありますか。 (6)の組合型があります。ただし組合契約書の内容など、複数の要件を全て満たす必要があります。

ご相談の前に

使用電力量、拠点の場所、想定する相手先との関係。この3つがわかれば、どちらの形が射程に入るかをお伝えできます。発電所の候補地探しからのご相談も受けています。

nonFIT・自家消費のご相談はnonFIT・自家消費太陽光、法人としての検討は投資家・法人の方へをご覧ください。

この記事の参照元

引用は各資料の公表時点の記載によるものです。制度は改正されます。個別の適用可否については、資源エネルギー庁または所管の経済産業局にご確認ください。

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