Column | 土地活用
雑種地・遊休地・農地の活用 ― 手続きは「地目」ではなく「現況」で決まります
2026.07.04(更新 2026.08.24) ・ 土地活用
「登記は雑種地だから農地の手続きは要らない」と思われていることがあります。それは違う場合があります。まず、どの手続きが要る土地なのかを見分けるところから整理します。
農地かどうかは、登記の地目では決まりません
農地法第2条の定義です。
この法律で「農地」とは、耕作の目的に供される土地をいう
書かれているのは土地の使われ方だけで、登記の地目には触れていません。つまり現況で判断されます。
- 登記が「雑種地」でも、耕作していれば農地として扱われることがあります
- 登記が「畑」でも、宅地として使われていれば農地でないと判断されることがあります
- しばらく作っていない土地でも、耕作の目的に供される土地であれば農地のままです
耕作をやめた時点で自動的に農地でなくなるわけではありません。最終的な判断は農業委員会が行います。ここを取り違えると、手続きの見積もりが根本から狂います。
農地なら、まず区分を確認します
農地を農地以外にするには都道府県知事等の許可が要ります(第4条第1項)。そして第4条第6項は、許可できない場合を列挙しています。
条文はこう書いています。
一 次に掲げる農地を農地以外のものにしようとする場合 イ 農用地区域内にある農地 ロ イに掲げる農地以外の農地で、集団的に存在する農地その他の良好な営農条件を備えている農地として政令で定めるもの 二 前号イ及びロに掲げる農地以外の農地を農地以外のものにしようとする場合において、申請に係る農地に代えて周辺の他の土地を供することにより当該申請に係る事業の目的を達成することができると認められるとき
第1号は土地の性質で決まります。第2号は違います。「その土地でなければならない理由があるか」を問われます。周辺に代わりになる土地があると判断されれば、性質としては転用できる農地でも許可されません。
土地の性質以外でも、止まる理由があります
同じ第6項の第3号以降には、こう書かれています。
| 号 | 不許可となる場合 |
|---|---|
| 三 | 資力・信用が認められない、権利者の同意を得ていないなど、用途に供することが確実と認められない場合 |
| 四 | 土砂の流出・崩壊などの災害のおそれ、農業用用排水施設の機能に支障のおそれ、周辺の農地の営農条件に支障のおそれ |
| 五 | 地域における農地の効率的・総合的な利用の確保に支障を生ずる場合 |
第3号の「権利者の同意」は見落とされがちです。共有地で一部の共有者の同意が取れていない場合、ここに引っかかります。相続で共有になったまま整理していない土地は、先に権利関係を確認しておいてください。
第4号は、隣接する農地への影響です。造成で水の流れが変わり、隣の田に影響が出るような計画は通りません。
一時的な利用という選択肢もあります
第6項第6号は、一時的な利用について定めています。
六 仮設工作物の設置その他の一時的な利用に供するため農地を農地以外のものにしようとする場合において、その利用に供された後にその土地が耕作の目的に供されることが確実と認められないとき
裏を返せば、利用のあとに耕作へ戻ることが確実と認められれば、一時的な利用は許可され得るということです。営農を続けながら発電する営農型太陽光は、この枠組みを使います。詳しくは営農型太陽光の新ルールをご覧ください。
なお許可には条件が付きます。第4条第7項は、行為が完了するまでの間、実施状況を農業委員会を経由して都道府県知事等に報告するなどの条件を付けなければならないとしています。許可を取って終わりではありません。
「登記は雑種地です」と言われても、現地に行くと畑になっていることがあります。逆もあります。まず登記事項証明書と、いまの使われ方の両方を教えてください。片方だけでは手続きの重さが読めません。
でんちくん/用地担当より農地でなければ、別の規制を見ます
現況が農地でなければ農地法の許可は不要です。ただし、それで自由になるわけではありません。
市街化調整区域なら開発許可の見通し。保安林なら解除の手続き。条例による規制。そして系統に空き容量があるかどうか。用地としての見極め方は系統用蓄電池の用地に向く土地・向かない土地にまとめています。
よくある質問
登記の地目を変えれば農地でなくなりますか。 なりません。農地かどうかは現況で判断されます。地目の変更は、転用の許可を受けて現況が変わった後の登記手続きです。
何年放置すれば農地でなくなりますか。 年数の基準はありません。耕作の目的に供される土地かどうかで判断されます。荒れた状態が長く続いていても、農地として扱われることがあります。
共有地でも進められますか。 権利者の同意が要件に関わります。共有者が多い、連絡が取れない方がいるといった場合は、そこから時間がかかります。早めに確認してください。
小さな土地でも相談できますか。 低圧系統用蓄電池であれば20㎡程度から検討できる場合があります。低圧系統用蓄電池とはをご覧ください。
ご相談の前に
所在地、おおよその面積、いまの使われ方。この3つがわかれば、どの手続きが要りそうかの見当をお伝えできます。登記事項証明書があれば、より正確になります。
土地の活用としてのご相談は土地所有者の方へ、賃料の考え方は蓄電池に土地を貸すといくらになるかをご覧ください。
この記事の参照元
- 農地法(昭和27年法律第229号)第2条(定義)、第4条第1項・第6項・第7項 — 農地の定義、転用許可、許可できない場合、許可に付す条件
引用は条文の現在の規定によります。個別の土地が農地に当たるかどうか、また許可の見通しについては、所在地の農業委員会にご確認ください。