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Column | nonFIT・PPA

太陽光パネルのリサイクル法が成立 ― 発電事業者に何が求められるか

2026.08.24 ・ nonFIT・PPA

太陽光パネルの廃棄に関する新しい法律が成立しました。令和8年法律第33号「太陽電池廃棄物の再資源化等の推進に関する法律」で、2026年6月5日に公布されています。発電事業者にとっては撤去費の前提が変わる話なので、公表資料から整理します。

いつから始まるのか

附則第1条です。

この法律は、公布の日から起算して一年六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する

公布が2026年6月5日なので、遅くとも2027年12月までに施行されます。具体的な日は政令で決まります。

費用の差が背景にあります

環境省の参考資料に、はっきり数字が出ています。

費用(kWあたり)
埋立処分 2,000円程度〜(現状)
リサイクル 8,000〜12,000円

資料は「差額は依然として大きい」と書いています。放っておけば安いほうが選ばれます。だから制度で後押しする、という構図です。

排出量の見通しも示されています。2030年代後半以降に排出量が顕著に増加し、年間最大50万t程度となり、最終処分場の残余容量を圧迫するおそれがあるとされています。

処分方法によるコスト差(1kWあたり) 埋立処分 2,000円程度〜 リサイクル 8,000〜12,000円 差は4〜6倍 環境省の資料は「差額は依然として大きい」と記載しています。 棒の長さは金額に比例させています。破線部分は8,000〜12,000円の幅です。 1MWの設備なら、単純計算で埋立200万円に対しリサイクルは800万〜1,200万円。
埋立処分とリサイクルの費用差。1kWあたりで4〜6倍の開きがあります。

義務がかかるのは「多量」に廃棄する事業者です

すべての事業者に同じ義務がかかるわけではありません。段階が分かれています。

対象 求められること
すべての事業用太陽電池廃棄者 判断基準を勘案した指導及び助言の対象(第8条関係)
事業用太陽電池廃棄者 国が定める判断の基準に基づく取組(第7条関係)
多量事業用太陽電池廃棄者 廃棄実施計画の事前届出(第9条関係)

「多量」の線引きは、廃棄しようとする事業用太陽電池の重量が政令で定める要件に該当するものとされています。数値は政令待ちです。

届出から30日は排出できません

ここが実務でいちばん効きます。

多量事業用太陽電池廃棄者は、原則として、届出の受理から30日経過後でなければ、当該届出に係る計画に記載された事業用太陽電池の廃棄に関し、自ら事業用太陽電池廃棄物を排出し、又は他の者に工事又は作業を行わせて当該事業用太陽電池廃棄物を排出させてはならない

撤去工事の30日前には、計画を出し終えている必要があるということです。計画に書くのは、廃棄する太陽電池の重量、排出の予定時期、処分の方法、工事等の発注先、処分の委託先など。工事業者と処分先が決まっていないと書けません。

なお、認定事業者等が全量リサイクルする場合はこの期間を短縮できるとされています。

計画が判断基準に照らして著しく不十分と認められる場合には、主務大臣が変更等を勧告・命令できます。

はかせ

撤去の見積もりを「埋立前提」で作っておる案件は、前提を置き直す必要があるのう。しかも届出から30日は動かせん。解体の工程を組むときは、この30日を先に確保しておくことじゃ。

はかせ/制度解説

リサイクル側にも手当てがあります

費用が高い理由の一つは、体制が整っていないことです。そこで、リサイクル事業者向けの特例が設けられました。

国が事業計画を認定すると、認定事業者は廃棄物処理法の許可を受けずに太陽電池廃棄物再資源化等事業を実施できます。都道府県ごとに許可を取る必要がなくなるため、広域で集約して処理できるようになります。保管基準にも特例が置かれます。

対象として想定されているのは、重量の約6割を占めるガラスを資源として回収する処分方法です。資料には処分方法ごとの回収率と導入コストも示されています。

処分方法 ガラス回収の割合 導入コスト
熱処理(専用設備) 約90〜95% 約1億円以上
ガラス切断(専用設備) 約75〜95% 約1億円以上
ガラス破砕(専用設備) 約60〜90% 約5〜9千万円
汎用シュレッダー破砕+選別 約50%〜

対象は広がる方向です

附則に見直しの検討規定が置かれています。

最終処分場の残余年数、リサイクル費用の状況等を勘案して、太陽光パネルの幅広い廃棄に関する者を対象とした義務付けを検討し、制度を見直し

いまは「多量」に限られていますが、将来的に対象が広がる前提で設計されているということです。小規模な設備を持つ事業者も、無関係ではありません。

パネルの種類で扱いが変わります

資料はリサイクル可能性を種類別に整理しています。シリコン系(単結晶・多結晶)は国際市場のシェアで約95%を占め、原則としてリサイクル可能とされています。ただし注記があります。

構造(建材一体型、保護材に樹脂を使用したもの等)によっては技術的・経済的に困難な場合も考えられる

化合物系(約5%)は「一部可能」、ペロブスカイトなどは技術開発中とされています。設備を選ぶ段階で、出口の難易度も変わるということです。

いま確認しておくこと

撤去費の前提。事業計画の撤去費が埋立前提のままなら、リサイクル費用で置き直すとどうなるかを見ておいてください。1MWなら単純計算で800万〜1,200万円の水準です。

FIT/FIPの積立との関係。再エネ特措法に基づき、FIT/FIPの事業用太陽光発電設備(10kW以上)には既に廃棄等費用の積立制度があります。積立額が新しい費用水準に足りるかどうかは、別途の確認になります。

セカンダリーで買う場合。中古で取得する設備は、将来の撤去費も引き継ぎます。パネルの種類と構造は、価格交渉の材料になります。

よくある質問

いつから届出が必要になりますか。 施行日は公布から1年6か月以内で政令により定められます。「多量」の基準も政令待ちです。

小規模な発電所は関係ありませんか。 届出義務の対象は「多量」に廃棄する事業者ですが、指導・助言はすべての事業用太陽電池の廃棄をしようとする者が対象とされています。また附則に対象拡大の検討規定があります。

パネルだけが対象ですか。 法律上の「太陽電池」は、板状でガラスを材料として使用した部品を含む機器のうち、重量が政令で定める重量以上のものと定義されています。詳細は政令で決まります。

リサイクルすれば安くなる見込みはありますか。 認定制度による広域処理と、技術開発・設備導入への財政上の措置で費用低減を図る設計です。令和8年度の関連予算も計上されています。

ご相談の前に

保有する設備の容量、設置年、パネルの種類。この3つがわかれば、撤去費の見立てをお出しできます。セカンダリーでの取得を検討されている場合も、同じ材料で判断できます。

発電事業者の方は投資家・法人の方へ、営農型太陽光は営農型太陽光をご覧ください。

この記事の参照元

引用は各資料の公表時点の記載によるものです。施行日および「多量」の基準を含む詳細は政令等で定められます。実際の対応にあたっては、最新の公表資料をご確認ください。

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